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第二章.〜人間の役割〜
まだ、物が焦げるような匂いが残ったリビングにツトムとシャルだけが残されている。
「ご、ごめんなさい。」
「あん?気にすんなよ。別に何とも無かったんだから。」
「でも、あの真言が一つでも当たっていたら、あなたはミディアム・レアくらいにこんがり焼きあがってるのよ?」
ツトムはその言葉にぞっとした。乾いた声で答える。
「ふ、ふーん。あれにそんな威力があるのか。こ、これからは気をつけろよな。」
「うん気をつける。ほんとに、ごめんね。それと…ありがと。」
「ごめんね。は解かるけど、なんだそのありがとうは。」
どうやら、ポリモリフは話し方すらも変えてしまうらしい。すっかり女の子の口調になったシャルが顔を赤らめている。
「そ、それは…さっき、可愛いって言ってくれたでしょ?」
あまりにも予測しなかった展開につられてアダムも照れる。
「あ、その事か…ばーか、そんなの社交辞令にきまってんだろ。」
「な!なんだと。」
シャルの目に怒りの色が見え、口調も変身前に戻っている。シャルが再び言い返そうとした時、紅茶を乗せたトレーを持ったブレアが戻ってきた。
「まぁまぁ、お待たせいたしました。シャル、ちゃんと謝りましたか?」
「う、うん。ちゃんと謝りました。」
「そう。ではシャルもお茶にしましょう。」
ブレアがテーブルに紅茶をおいている間に、シャルはソファに座った。
「ウソツキ!」
シャルがツトムの後ろを通った時、ボソッとそんな言葉が聞こえた、が彼はそしらぬふりで紅茶をすすった。
「では本題に入りましょうか?」
「ええ、何か良い手段でもあります?」
「はい。それについては後ほど…今は先にこの世界の事についてお話いたしましょう。」
「おいおい。俺はこの世界なんてどうでも良いの!早く帰りたくてうずうずしてるんだから。」
「黙ってお聞き下さい!」
だん!という音と供にティーカップが跳ね上がる。ブレアの表情は真剣だった。
「はい…。」
ツトムが肩を落とし、おとなしくなったのを見てシャルが笑う。
「あらためてお話します。この世界には人間が存在しない事はもうお話いたしましたね。しかし、はるかな昔には…存在していたのです。」
「へー。」
アダムはふてくされて聞き流している。
「しかし、有る時を境にこの世界からその存在を消してしまいました。…理由はわかりません。」
「ふーん。でもさぁ、この世界って色んな能力を持った人がいるんだろ?だったら弱肉強食の掟に従って何の能力も持たない人間なんて、消えるのが当たり前じゃん?」
ブレアは驚いた様に。
「何をおっしゃるのですか!?この世界の人間には、他のどの種族も持ちえない能力があったんですよ。そう、時の管理者としての…。」
「時の管理者?時間でも操れたのかい。」
ツトムは茶化す様に聞きかえした。
「…それはこの世界に住む生きとし生ける者にとって無くてはならない能力でした。 人間 がいなくては、この世界の時は刻まれないのですから。」
ツトムの話を聞く目は真剣になっていた。ティーカップを口に運ぶ手が止まる。
「続けて…。」
「はい。人間がいなくなってしまった為に、この世界は時を刻まなくなってしまいました。全ての時が止まろうとしていたのです。それはこの世界の消滅を意味します。」
「でも、現実にこの世界は存在してるぜ?」
「はい。天上神様がなんとかその事態を阻止しました。神は腹心である御自分の娘達に、時の管理を引き継ぎました。」
「ちょっと待ってくれよ!何も人間は一人じゃないだろ?他の人間にやらせれば良いじゃねぇか。」
ブレアは重々しく口を開いた。
「世界の原初、人口は少なく人間はアダム様しかいなかったのです。これから少しずつ世界が繁栄していこうとしている時でした。」
「でも、今は神様の娘さんが管理してるんだろ?なら問題無いんじゃないの。」
「いいえ、娘達…神の皇女達は他にも義務として、様々なことをしなくてはならないのです。
時の管理には大変な力を使います。徐々にですが皇女達にも限界が現れてきたのです。恐らくその影響でしょう。」
「その影響って、まさか…」
アダムの顔が真っ青になる、唇は乾ききっていた。
「はい、最近時空間に歪が頻繁に現れます。その為に、貴方の世界とこの世界が接続されてしまったのでしょう。」
「ってことは何か?俺は超偶然的にここに来って訳か?」
「…原初の人間は他の世界に行ってしまったとも聞いております。恐らく貴方の世界に渡り、その世界で人間は繁殖していったのでしょう。」
「ちょっと待ってよ、俺確かに人間だけどそんな時を操るような能力なんて持ってないぜ。」
「・・・力には法則があります。質量保存の法則はそちらにもありますか?」
「ああ、聞いたことあるぜ。」
(確か物理だった様な…)
文系の彼には自信が無かった。
「それと一緒で、力はその種族の数量に反比例してしまうのです。つまりその種族の数が少なければ少ないほどその力は強くなるのです。アダム様がいた世界では人間は何人ほどおられましたか?」
「何人ってもな〜ざっと言われているだけで50億って言われているけどな〜」
「ごぢうおく!?」
シャルが驚声をあげた。声のトーンも調子が変だ。
「ああ、その位いるぜ。もちっといるかもな?」
ブレアは絶句している。目が点だ。
「どうしたの?ブレアさん何か問題でもあんの?」
「い、い〜え〜少々驚いただけでございますわ。そんなに大勢いらっしゃるとは思いませんでしたので。なあるほど〜そんなにいらっしゃるのですかぁ〜」
ブレアの顔が青ざめている。ティーカップを持つ手も震えていた。口調もどこか変になっている。
「この世界の総人口は何人くらいなの?」
「え!あ、はい。えっと〜正確な数は判らないのですが全種族あわせても10億人前後だと言われております。」
「んで?ブレアさんたちの種族は何人くらいいるの?」
軽い気持ちで聞いてみる。
「……・・・・・・・・・…」
「…………………」
なぜかシャルもブレアも黙っている。
(な、なんか聞いてはいけないことを聞いたかな?)
ブレアが少し間を置いてからためらいがちに口を開く。
「いえ、その…人です。」
「え?ごめん聞こえなかったよ。もう一度言ってよ。」
「ふ、ふたりです。」
今度はアダムが驚いた。思わず紅茶を落としそうになる。
「はあ?ブレアさん。冗談はやめてよ。」
「嘘でも冗談でもないわよ。私たちの種族 フェルメス・ドラゴン 族はお母様と私だけなの。まぁ、確認できてないだけなんだけどね。」
シャルが横から口を挟む。
「で、でもブレアさん。旦那は?」
ツトムは言ってから後悔した。二人しかいないと言っているからには亡くなったのに違いない。場を気まずい空気が支配した。
「お父様は…」
「いません!」
シャルが話しかけた言葉をブレアが遮った。ブレアの様子が今までとは違う。
「…取り乱してごめんなさい。この子の父は私がこの子を宿した直後に…失踪しました。もう生きているのかどうかもわかりません。」
「すいません。なんか、聞いちゃいけないことを聞いちゃったよで・・・。」
「いえ。良いんですの。それより話を元に戻しましょう。先程も申し上げたとおり。今は皇女様たちが世界の時を紡いでおりますが、その力も限界に迫っているようです。このままではそう遠くない未来にこの世界は終焉を迎えるでしょう。そうなれば、アダム様あなたも…」
「帰れなくなるってわけか…」
「はい。そのためにも一刻も早く…」
「おう!とっとと帰るぜ!こんな滅亡しかけている世界に用はない!俺は大学に入るんだ!そしてモテモテに!」
かなり本気でガッツポーズをとる。ブレアとシャルが同時にソファーからずり落ちた。
「あ、あ、あ、あ、アダム様先程の話を聞いて何も思われないのですか?」
「なんで?」
当然!といった顔で平然と答える。
「その、少しは『そうか!じゃあ、俺が世界を救ってやるぜ!』とか思いませんか?」
「はぁ?俺に何期待してんの。だって俺この世界じゃ何の力も持たない人間だろ?その、時間を操る力なんてのも無さそうだし。」
「いいえ!それはこの世界に来てまだ日が浅いからですわ。アダム様はきっと時間を紡げるようになります。だって私が!!」
そこでブレアの言葉がとまる。
「私が?なに?」
「わ、私が見込んだお人ですもの〜。きっとできますわ。」
「見込まれてもな〜それに、時の管理者になるってことはこの世界に居続けなきゃいけないんでしょ。そんなのは嫌だな〜。」
アダムがごねてみせる。かなり本気のようだ。やる気のかけらも見つからない。
「だ、大丈夫です。アダム様のお力を皇女様達に受け継がせれば良いのです。以前のアダム様は御力継承なさらずに失踪してしまわれたのです。今回アダム様がそのお力を皇女様達に継承してから、お帰りになればよろしいのですわ。それに。」
「それに?」
「そのお力がないともとの世界に戻れませんことよ?」
痛いところをついてくる。ある意味脅迫ともとれるが…
「うっ!そうか…それならしかたないな。よっしゃ!んじゃついでに世界も救ってやるぜ!」
「ついでかい!」
ドカッ!
ガッツポーズをしていたツトムにシャルの突っ込みエルボーがきまった。みぞおちに入ったらしく激しく悶える。
「なにすんだこのやろう!世界を救う偉大なる勇者にむかって!そんな態度じゃ、力を手に入れても救ってやらないぞ。」
「ふん。あんたなんかに救われるくらいなら滅びの道を歩むわよ。」
プイっとそっぽを向きながらきりかえす。
「なんだと〜」
「まぁまぁ、アダム様落ち着いてください。シャル!軽々しくとんでもない事を口にするのではありません。アダム様そのままでは力は身につきません。これをご覧ください。」
そう言うとアダムの前に紫色をした球体を差し出した。水晶の様でもあるが、その中心から虹色をした光が瞬いている。アダムの目が自然に中心に吸い寄せられる。アダムの中に懐かしさと高揚感がこみ上げてきた。
「これはパ…」
「パルミット」
口から自然に言葉が漏れる。
「えっ?」
「・・・・・・・・・・。」
何も言わず手を差し出しそれに触れようとする。その目にはただならぬ意思が宿っていた。ブレアが黙ってそれを差し出す。シャルも思わず神妙なる。ツトムがそっとそれ−パルミットに触れると
光がはじけた!
「なになに!?何が起きてるの?眩し過ぎてなにも見えないわよ」
光の中からシャルの困惑した声が聞こえる。ブレアは光に陶酔していた。ツトムは微動だにしていない。その光の中で聞き覚えのある声が聞こえた。
「愛しいあなた、やさしいあなた、素敵なあなた、私のあなた。あなたの帰りをお待ちしておりました。早く、一刻も早くあなたに会いたい。触れたい。声を聞きたい。アダム様…早く私を見つけてくださいませ。」
声は光と共にだんだんと小さく、弱くなっていく。
「待てよ、あんたはいったい誰なんだ。どうして俺を知っている!俺をこの世界に呼んだのもあんたなのか?なぁ答えろよ!おい待てよ。待てって言ってるだろ待ってくれ イヴ !」
光は収まった。声も聞こえなくなった。ツトムは無意識に涙を流していた。胸にやるせない切なさを残して…そして沈黙。うなだれているツトムの様子を見かねたシャルが声をかけてきた。ブレアはまだ光の余韻に陶酔しているようで目を閉じたままである。
「@*‘#$&%?ゞ」
が、それはとてもじゃないが人間に聞き取れる発音ではなかった。地球上のどの言語にも属さないそんな発音。
「は?何を言ってんの。シャル、悪いが俺は今おまえと遊んでいる気分じゃないんだ。」
しかしこちらの言っていることも伝わっていない様だ、シャルは?という顔をして言葉を続ける。
「@*‘#$&%?ゞ#$%$#=〜=()’($)」
「だから〜今はそんな気分じゃないんだよ!」
だんだんむっとしてきた。困惑した表情のシャルが慌ててブレアに話し掛ける。やっと陶酔から冷めたのか、ブレアも様子のおかしさに気づきアダムに話しかける。
「@;p;:」#$%&‘+*>_}P{*@@}」
「はぁ?ブレアさんまで、なに言ってんの?勘弁してよ。」
やはり伝わってない様だ。ブレアが落ち着き払ってツトムに近づき、彼の手にあったパルミットを取りあげる。
「これで話していることが判りますか?」
と、途端に言葉が通じるようになった。
「ん?ああ、判るよ。なに?今の。何で突然言葉がわからなくなったんだろう。」
「これのせいですわ。」
言ってパルミットを差し出す。
「これ?パルミットのせい?なんで?」
もう一度パルミットに触ろうとするとブレアはさっと手を引っ込めた。
「だめですわ、アダム様。これに触れるとまた言葉が通じなくなりますもの。このパルミットはアダム様の力のかけらとも言われております。その力のせいでしょう。」
ツトムは理解していなような?マークがいくつも見えるような表情をしている。
「なんで?なんでそれで言葉が通じなくなるの?」
「さっきね。突然あんたの心が読めなくなったの。そう、ちょうどそれを持っている間よ。」
シャルの言葉もわかるようになった様だ。
「私達は失礼ですけども、アダム様の心を読んで会話をしております。どうやらパルミットを持つとアダム様の力が増幅して心が読めなくなる様ですわ。その為でしょう。」
「なるほどねぇ。」
言いながらソファに座る。胸にはまだ熱い何かが残っている。
「ところでなんであんたあれがパルミットを知ってるのよ?それにイヴって言ってたわよね。どういう事よ。」
シャルがアダムに詰め寄った。なんか目がマジだ。
「あれ、そういえば何で知ってるんだろう。なんか勝手に心に浮かんできたんだよな。うん。イヴって名前も…。」
「なにそれ。そんなんじゃ答えになってないわよ。だいたいねぇ、何であんたが皇女様の名前を知ってるのよ?」
シャルの声がひときわ大きくなる。
「皇女様?誰が?」
ツトムは本気で解からない様だ。シャルにはその様子がすっとぼけている様に見えたのだろう。さらに詰めより二人の顔があと数センチというところまで迫った。
「イヴ様よ!あんたさっきはっきり言ったじゃないの、 イヴ って。」
「イヴがいるのか!この世界に。」
今度はツトムがシャルに詰め寄る、額と額がくっつきそうなぐらいに。その気迫はさっきの彼女の比ではない。
「な、なによ。そんなに気合が入っちゃって。いたわよ。確かに。」
「そうか、いたのか。どこにいるんだ…え、いた?じゃ今はいないのか?」
シャルの肩をつかんで揺さぶる。かなり動揺しているようだ。
「んもう!やめてよ。女の子に何すんのよ。イヴ様はアダム様がいなくなった頃に共にいなくなったって聞いているわ。ざっと2万年前にね。」
「な!…そうか、そうなのか。」
ツトムの手から一気に力が抜ける、自然とシャルの肩から手が抜け落ちた。。
「ツトム様。貴方は紛れもなく アダム様 の再来です。どうかこの世界をお救いください。この滅び行く世界を。これを、パルミットを集めれば貴方は力を得られるでしょう。その力さえあれば、貴方は元の世界に戻ることもできます。…そしてパルミットを集めれば イヴ 様の手がかりをつかめる事もありましょう。どうか。」
ブレアは深々と頭を下げた。嘘偽りのない真摯な態度だ。ツトムは…
「すべての手がかりはパルミットが握っているというのか…」
「はい。そのとおりです。」
「でも、これを持つと俺はブレアさん達と会話ができなくなるんだぜ?ってことはさ、この世界のほかの人間、いや人とも会話できないんじゃないのか?情報収集もできないのに集めるなんて無理なんじゃないか?」
「それは何とかしますわ。用はアダム様のやる気の問題です。可能な限りのお手伝いはいたします。それとも…滅び行くこの世界と共に運命を共にしますか?」
ツトムは黙って紅茶をすすった。もう完全に冷え切っていた紅茶がツトムの頭を冷静にさせる。
「…一晩考えさせてくれないか。いきなり異世界に来て世界を救えだなんて言われてもピンとこないし。なにより、色々な事が一気にあったから頭がパンクしそうだ。」
「…はい。わかりました今夜はゆっくりお休み下さい。客間を用意しますので。」
そう言うとブレアはいそいそとリビングから出ていった。シャルはまだむっとした表情でツトムを睨んでいた。その視線に耐えきれずに話しかける。
「なんだよ。」
「別に。なんでもないわよ。」
かなり鋭い棘が含まれている言葉だ。さっきの事を根に持っているのか。
「…その、悪かったよ。自分でもよくわかんないんだけど、彼女のことが関わると、こう何て言うのかな体中の血が熱くなるんだよな、まるで沸騰するくらいにさ。」
「…やっぱさ、あんたあのアダム様なんじゃないの?なんかそんな感じがするわ。さっきパルミットを持ったときなんか凄まじい魔力を感じたわ。はっきり言ってあれはもう皇女クラスね。」
ツトムは納得がいかなかった。彼には記憶力がある。人間として生きてきた18年間の記憶が偽者や紛い物の類だとは思えない。
「俺は、本当に何も解らないんだ。気がついたらこの世界にいておまえの上で気がついた。…でも、俺はこの18年間の自分を、自分の存在を信じたい。それに、俺が2万歳以上の爺に見えるか?」
「…だいたい、何でそんなあだ名がついてるのよ?そのせいで話しがややこしくなってるのよ!?」
恐ろしく神妙なその問いかけに返答に困ったのか、話しの方向をそらす。もともと聞きたかったようでもあるが…
「え〜と確か、趣味のサバイバルゲームでコードネームを付ける事になって、それからだな。俺の名前、読み方をかえるとアダムになるんだな。」
「ふ〜ん。」
サバイバルゲームの意味はわからなかったのだろうが、とりあえず話しをそらせたのでほっとしている様だ、生返事で受け流した。ツトムの方はというと先ほどの神妙さも陰りすら無くなっていた、自然と話題がそれていく。
「…そういやぁ、見えるといえばその姿、見事に化けたな。その姿ならどう考えても原型が犬には見えないぞ。それにその言葉使い、まるで別人だ。」
「まだ犬と言うの、しつこいわよ。この姿は 元 が良いからだし、この話し方はポリモリフの影響なの!仕方ないでしょ。…そんなに変?」
なんだかんだ言ってシャルも外見は気にする様だ。どこの世界でも女の子は女の子という事だろう。
「いや、悪くないよ。その、結構かわいいと思うぜ。だから自信をもてよ。」
言った後で照れているのか、ツトムの顔は少し赤い。シャルもつられて赤くなる。
「あ、ありがとう。」
「そ、それよかさお前らって2人しかいないんだろう?って事はお前等の種族は、その…絶滅しちゃうんじゃないのか?」
照れ隠しに素朴な疑問を聞いてみたらしい。
「その為にポルモリフがあるんでしょ。この術はね、本来種族間の関係なしに繁殖できる様に存在しているのよ。種の絶滅が起こらないために、神様が私達にお与え下さったの。それに、みんなの姿が人間同士ならいろいろな面で役に立つしね。」
「ふ〜ん。良くできてんだな〜。」
(まぁ、外人と結婚するようなもんか。)
「外人てな〜に?」
考え事をしているとシャルが容赦なく質問してくる。
「あのな〜頼むからいちいち心を読まないでくれよな。なんか、気疲れしちゃうぜ。」
「だって読まなきゃ会話できないもん。そんなに嫌なら心をガードするのね〜はっきり言って今のあんたの心はガードゼロよ。誰でも覗けるわ、そして壊せる…やってみせようか?」
シャルの目はマジだった、悪魔の微笑を思い起こさせる。
「遠慮しておく。まぁさっきの質問に答えるとだな。異種族って意味だ。」
「ふ〜ん。まぁ、この世界で異種族間の繁殖行為は珍しくないわよ。」
ソファの上でひざを抱え、首をかしげながら返事を返す、その動作がなかなに可愛い。母親と同じ黒髪が艶やかに輝いている。ツトムは必死に見ないようにしていた。見れば100%可愛いと思うだろう。そんなこと読まれた日にゃ頭が上がらなくなる。ある意味凄まじい戦いであった。当の本人はケーキに夢中で心を読んでるひまなんて無さそうだが…と、食べ終わったのか立ち上がると。
「さて、私はもう寝るわよ。私があんまり可愛いからって夜這いなんかに来ないでね。」
「な!」
どうやらさっきチラッと思ってしまったらしい。反論する前にシャルはあっかんべーをしてリビングを出ていった。
(ふぅ、マジで疲れるぜ。勘弁してほしいもんだよな。)
..........to be continued...........
パルミティア 第ニ章.〜人間の役割〜
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